男性の更年期障害の中でフリーテストステロン(FT)という男性ホルモンが少ない状態(8.5未満)をLOH症候群と呼びます。
去年の11月にNHKの『ためしてガッテン』で放送されてから関心が高まり、多くの患者さまが医療機関を受診されました。LOH症候群かどうかは専用のチェックリスト - AMSスコア(こちらをご参照ください)に記入する事でスクリーニングを行います。
チェックリスト - AMSスコアはドイツで開発され、国際的にも標準的に使用されている最も信用できるLOH症候群のスコアです。
AMSスコアは高い程、LOH症候群である可能性が高いと予想されます。特にAMSスコアが50点を超えるものについては、重度のLOH症候群である事が予想されます。しかし初診時にAMSスコアが高いのにも関わらず、フリーテストステロン(FT)が低値ではなく、『LOH症候群ではない』と診断されるケースがしばしば見受けられます。AMSスコアにも現れているように自覚症状が強く苦しんでいるのに、『FT値が正常ですから大丈夫ですよ。良かったですね。』と医師から言われて戸惑った方もいらっしゃると思います。

では何故このような事が起こるのでしょうか?

 私は、AMSスコアは本来の目的である男性ホルモンの絶対的低値を反映するという要素に加え、相対的低値でも上昇すると考えています。特にもともと男性ホルモンが高いタイプの人は、この相対的低値の方がAMSスコアにより大きく影響するのではないかと考えます。

 もともと男性ホルモンの値は個人差が大きく、変動もします。そのためフリーテストステロン(FT)の絶対値を1回測定しただけでは病態の把握は不十分と考えます。

 具体的な例を挙げると、初診時にFT値が13.0であったとします。その患者が半年前にFT値が20であったならば、男性ホルモンは20→13と大幅に低下しているため、体は男性ホルモンの不足を強く感じ、身体的・精神的症状が強く生じると予想されます。この場合、AMSスコアは高値になる事が予想されます。一方、半年前にFT値が14であれば、14→13と大きな変化はなく、自覚症状も比較的穏やかである事が予想されます。この場合のAMSスコアは比較的低値となる事が予想されます。
また、半年前にFT値が9であれば、9→13と改善傾向のため自覚症状はあまりない、つまりAMSスコアは低い事が予想されます。同じフリーテストステロン(FT)値でも状況によってこれだけ差がある訳です。当然FT値20→13の様に著明な低下傾向がある場合は、その後も低下が続く事が予想されますので、引き続き採血などによる経過観察が必要です。もちろん過去に健康診断などでたまたまFT値を測定しているケースは現実的には考え難いため、当クリニックでは以下の様にしています。

 AMSスコアが高くLOH症候群が疑われるにも関わらず、異常が指摘されなかった場合は、相対的低値の可能性を考え、3ヵ月後に再度フリーテストステロン値を含む血液検査を行います。その値を初診時と比較する事でより細かく病状の把握をし、最適な治療に結び付けて行きます。実際、この方法でLOH症候群と診断され、ホルモン補充療法を行い症状の改善に結びついた方もいらっしゃいます。

 他の医療機関などで『LOH症候群ではない』と言われた方もぜひ、当、代官山パークサイドクリニックにご相談ください。その際には以前検査したフリーテストステロンの結果などをお持ちいただけると診断の一助となります。

男性更年期障害については、
当クリニック、LOH症候群・男性更年期外来のページよりご覧ください。

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