骨密度減少に伴い骨折リスクが高まっている状態を骨粗鬆症(こつそそしょう)と言いますが、骨粗鬆症を患っている人は我が国で約1,100万人と言われています。そのうち約80%が女性、約20%が男性です。

男性は骨密度がもともと高い事と、女性における閉経の様な急激なホルモンバランスの変化による影響を受けにくいため、一般的に骨粗鬆症のリスクが少ないとされています。骨密度を単純比較すると男性は女性よりも15年骨密度低下が遅くなるとの事です。そのため骨粗鬆症は女性の疾患というイメージがあるため、男性に対しては検査をおろそかにする傾向があります。しかし、男性の骨粗鬆症、実は意外と気を付けないといけないのです。

男女とも更年期には骨粗鬆症が進行します。女性は50歳前後の閉経を契機に急速に骨粗鬆症の傾向が現れますが、それに比べて男性はゆっくりと男性ホルモンの低下がおこるので骨粗鬆症になりにくいというのが定説でした。これが当てはまらないケースが男性にもあります。男性ホルモンの著名低下による男性更年期障害すなわちLOH症候群(late onset hypogonadism in males)の場合です。LOH症候群の場合、男性ホルモン(アンドロゲン)が急速かつ高度に低下しますので、性ホルモンによる骨量減少に対する保護効果が女性更年期障害と同様に急速に失われます。このため、予想外に骨粗鬆症が進行する場合があり、注意が必要です。

また男性の骨粗鬆症には、もう一つ特徴があります。それは“生活習慣病との合併が多い”という点です。生活習慣病には、高血圧、糖尿病、高脂血症、COPD、腎機能低下(CKD)が含まれます。生活習慣病は骨の質を劣化させる事により骨粗鬆症を進行させます。

LOH症候群は、男性ホルモンの低下に伴い、生活習慣病の進行を早める傾向があります。LOH症候群は、①男性ホルモン低下により骨量を減少させる、②生活習慣病を進行させる事で骨質を劣化させる事により二重に骨粗鬆症を悪化させます。

女性の場合、同年代の骨折リスクを比較した場合、骨粗鬆症が有る場合の骨折リスクは健常人の約2倍ですが、男性の場合は骨粗鬆症が有る場合のリスクは約4倍になります。つまり、骨粗鬆症になった場合の骨折リスクの上昇という観点からは、骨粗鬆症は女性より男性の方がはるかに深刻なのです。

また、喫煙は男女とも骨粗鬆症を悪化させます。禁煙療法も併せて実施する事がおすすめです。

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