花粉症の話2012⑤ 鼻症状の治療のまとめ


これまでのコラム『花粉症の話2012 “鼻”』シリーズで、

と、花粉症の鼻に関する症状を細かく分けて、それぞれについて詳しく説明して参りました。
ここまで全てを読んでいただいた方は、治療に用いる漢方薬の種類が多すぎて「いったい何種類飲めばいいのだ!?」とか「じゃあどれを飲めばいいのだ!?」と感じられたかもしれません。勿論全部飲むわけにはいきませんし、そのうちのどれかを飲めば効く、というわけでもありません。診察を行い症状や体質(証)にあった適切な漢方薬を処方するのが基本です。ですがもう少しわかりやすく理解していただくために、ここで一度『鼻の症状』ついて、簡単にまとめておきたいと思います。

まず、鼻症状の治療は『漢方薬+点鼻薬+抗アレルギー薬』で行い、通院可能な方には注射治療を行います。

漢方薬治療では、主に以下の漢方薬のいずれかを処方する場合が殆どです。
19番・小青竜湯(ショウセイリュウトウ)
119番・苓甘姜味辛夏仁湯(リョウカンキョウミシンゲニントウ)
2番・葛根湯加川?辛夷(カッコントウカセンキュウシンイ)

上記の漢方薬は『くしゃみ・鼻水・鼻づまり』の3つの症状に対して効果があり、体質(証)にあったものが適切に処方されれば、多くの方が『強い効き目』と『即効性』を実感出来ると思います。また、忘れてならない特徴として『眠くならない』というものがあります。抗ヒスタミン剤などでは、どうしても眠くなってしまうため、運転前や集中力を必要とする仕事の方は日中飲めないという欠点がありましたが、漢方薬はそれがありません。副作用も非常に少ないため、私の行う花粉症治療の中ではもっとも主力となります。

しかし漢方薬だけでは全ての鼻症状を完全に押さえ込むことが難しい場合があります。そこでいくつかの西洋薬を併用して治療に用いることで、より効果的な治療をおこなうことを心掛けております。
まず、鼻の症状には点鼻薬です。
点鼻薬にもいくつか種類がありますが、ステロイド系の点鼻薬は、即効性に欠けるものの、継続して使用することで、高い効果の持続性が望めます。ストロイドですが殆ど体内の吸収されないため、副作用も殆ど無く安全です、ステロイドの内服薬や注射は、原則としてお勧めしておりませんが、このステロイド系点鼻薬は問題なくお勧め出来る治療です。

他に、抗ヒスタミン薬やそれ以外の抗アレルギー薬も治療にはとても有効です。しかし眠くなるなどの副作用もあり、特にサラリーマンは使用が難しいところがございますので、漢方薬と併用し使用していきます。

内服薬以外にも、ノイロトロピン注射、ヒスタグロビン注射、プラセンタ注射は効果的です。しかしこれら定期的な通院の必要がありますので、可能な方のみ行います。また、注射単体で効果を発揮することが難しい場合がありますので、他の治療を組み合わせることが原則となります。

なお、花粉症の治療は上記が基本となりますが、繰り返す鼻血の治療のみ処方する漢方薬が異なります。詳しくは鼻出血に関するコラム「花粉症の話2012④ その他の鼻症状~鼻乾燥・鼻出血~」をご参考ください。

花粉症の症状について、解説しているコンテンツは数多くあれど、このように症状を細かく分類し、それぞれについて詳しい解説をしているコンテンツは少ないと感じましたので、自分の首を締めつつも、執筆に乗り出しました。

花粉症の患者さんを診察していていると、人によって症状が様々でそのため治療方針も少しずつ変わります。これは当たり前のことなのですが、インターネット等を見ると、世間一般には、全てをひっくるめた『花粉症』という単語で、症状をひっくるめて表現されていることが多いように感じます。

このコラムを通じて、多くの方々に、自分は『花粉症』の症状の中でも、どの症状に一番苦しめられているのか、なにを効果的に治療していきたいのか、ということをしっかり理解して欲しいと願います。

次回からは目の症状について解説していきたいと思います。

なお、上記のように花粉症の治療に有効的に処方される漢方薬ですが、患者様の体質【証】にあった漢方薬を使用し、風邪はもちろん女性・男性の更年期障害、冷え性、胃の痛み、腰痛、便秘、ダイエット、ニキビ、胸やけ、だるさ等の「なんとなく不調」など、他にも様々な疾患に対し症状を改善させることが出来ます。

NHKテレビでも漢方薬の特集が組まれ、「漢方薬」が注目されていることがうかがい知れます。
2月25日には、感情をコントロールし謀慮を得る効果があるとされる漢方薬 54番・抑肝散(ヨクカンサン)について特集が組まれます。ご興味のある方は是非ご覧下さい。

Link : NHK 夜なのにあさイチ

また抑肝散についてはコラム『抑肝散(54番) – 漢方薬の話 イライラ・不眠に効く漢方』も合わせてご覧下さい。