男性更年期障害の話⑤ 男性更年期障害(LOH症候群)と糖尿病


 男性更年期障害の中でも、男性ホルモンの指標であるフリーテストステロンが低いLOH症候群の場合、脂質異常症や高血圧、痛風(高尿酸血症)などの成人病の悪化を認めるケースが多いのですが、糖尿病も例外ではありません。

 糖尿病のコントロールは、先ずはグリコヘモグロビン(HbA1c)という1ヶ月の平均の血糖の値で見ます。LOH症候群の場合はグリコヘモグロビン値が急激に悪化するケースがしばしば認められます。LOH症候群は、①気力・行動力の低下による運動量の減少、②筋肉量の減少による基礎代謝の低下、③男性ホルモンの直接作用により血糖コントロールが悪化すると考えられます。また、グリコヘモグロビンは比較的同じ数値で推移している場合でも随時血糖が驚くほど高い値を示す事もあり、注意が必要です。特にインスリン治療を行っている場合は、血糖コントロールの不良に加え、インスリンによる低血糖が頻発するなど悩ましい事態となる事があります。

 LOH症候群では、ホルモン補充療法(ART)という注射治療を2~4週間毎に行いますが、これにより糖尿病のコントロールの改善が期待できます。これはとても良い事なのですが、人によっては急激に改善する事があるため、インスリン治療を行っている糖尿病の方や、発症直後の糖尿病で可逆性の高い(一時的に治る可能性の高い)病態のケースでは、通常より頻回の血糖やグリコヘモグロビンなどの測定を行うなど細かい病状把握が必要です。

 毎年の健康診断でグリコヘモグロビンが高めである事を指摘されている方も、LOH症候群と診断された場合は要注意です。『耐糖能異常』と言われる正常と糖尿病の間(グリコヘモグロビンで概ね5.3~5.8の方)は通常は3~6ヶ月に一度の採血によるグリコヘモグロビンの測定による糖尿病発症の有無の診断が推奨されています。しかし、LOH症候群では、糖尿病などの代謝性疾患が発症すると悪化の速度が倍加されます。そのため、上記のような3~6ヶ月の間隔では発症を適切に把握できない可能性がありますので、2ヶ月毎に採血を行う事をお勧めしています。
 いずれにしても、糖尿病を合併したLOH症候群の場合は、ホルモン補充療法を行うLOH症候群を診る医師と糖尿病治療を担当する医師との間で細かく連携をとる事が重要です。
 また糖尿病のコントロールが急に悪化した場合も、LOH症候群の合併が無いかを調べる事は重要と考えます。

 当、代官山パークサイドクリニックでは、糖尿病治療と男性更年期障害(LOH症候群)の治療の両方を行っておりますので、この様な場合にも安心して受診いただく事ができます。糖尿病は今まで受診している医療機関で治療を続け、LOH症候群のみ当クリニックで治療という事も可能です。気軽にご相談ください。

男性更年期障害については、
当クリニック、LOH症候群・男性更年期外来のページよりご覧ください。