ヒスタグロビン注射によるアトピー治療 ③身体にやさしい治療とは? 1.総論


アトピー性皮膚炎の話をします。
 慢性のアレルギー性疾患の治療は、花粉症や一過性の喘息でも数週間から数か月、通年性のアレルギー、特にアトピー性皮膚炎などは治療が年単位に及びます。
 アトピー性皮膚炎の治療に使われる標準的な治療薬は、すべて長期使用を視野に入れて開発されているため、基本的には心配なく治療を継続できます。
 しかし、その基本的に安全・安心の治療の中には、“身体にやさしい治療”とそうではない治療が存在します。
 “身体にやさしい治療”とは何か?そして、その治療を選ぶ重要性は何かという事について説明させて頂きたいと思います。

 一般的な話をすると、我々医師が疾患の治療を行う場合、ガイドラインという学会が定めた治療の方針を記したものを参考に治療を決定します。ガイドラインは、治療法をある程度統一する事によって、治療のクオリティを一定に保ったり、治療結果の統計などを検証し、よりよい治療法に結び付けたりするためのものです。
 その最も治療効果が高いとされたものが標準治療とされ、その治療法に基づく治療が推奨されます。そして、この標準治療が、確率的には最も効果的な治療に結び付く可能性が高いため、我々医師は、治療の最初には、標準治療=ガイドラインに沿った治療から行うのです。
 もちろん、これで治療が上手くいけば何の問題もありません。
 しかし、思うような治療効果が得られない場合は、標準的治療から離れた治療を考慮する必要があります。
 標準治療で効果が不十分な場合、用意されている選択肢は、治療に使う薬物の追加、増強のみ、要は「力押し」です。
ここに、標準治療の大きな問題点があります。

 私は、治療というものは商売と同じと考えています。ただ単に治療効果が上がれば良いという訳ではなく、身体の負担という経費との差を考えるべきと思います。
 売上が多くても、経費がかかりすぎて儲からない商売では意味がない、身体の負担が大きすぎる治療では意味がないという考えです。

 もちろん西洋医学による標準治療でも、薬の副作用という大きな身体の負担はきっちりと把握して治療にあたります。初診時に身体状況を把握し、定期的に採血などによるチェックを行い、肝機能や腎機能を始めとして、病状の変化がないかと同時に副作用の有無もきっちりと管理します。
 そして、肝機能や腎機能に変化があった場合は、薬の副作用の可能性を考えて、治療内容の変更を検討します。
 理屈の上では完璧な副作用管理がなされています。
 しかし、ここで見ているのは、副作用により大きな事象が生じたか否かです。細かい身体の負担は考慮されることはありません。
 これが、感冒など急性疾患に対する治療であれば何の問題もないと考えます。しかし、アトピー性皮膚炎や喘息などの慢性的疾患に対してはいささか問題があります。
 身体負担の大きな治療を長期間続ける事は、目に見えにくい形でいろいろな不具合を身体に生じます。
 肝臓や腎臓が正常だから問題ないよね、という現在の標準治療による副作用コントロールの問題点がここにあると考えます。

 これを、日常生活におけるお金の問題に例えると判りやすいかもしれません。
 私は、治療における身体的な負担=体の払う出費と例えます。
 レストランに食事に行く時を考えてみてください。
 記念日にちょっと良いレストランで食事をしたとします。その一回のディナーで家計が破たんする可能性はゼロです。だからといって、連日高いレストランに通ったら、いつか大変な事になります。
 同様に、身体の総合的な負担を考えずに、当面は目に見える副作用がないからまだ大丈夫と考えるのは、長期的に考えると極めて良くないことと考えます。

 そこで、長期的な視野をもって、総合的に身体の負担が少ない治療、真に「身体にやさしい治療」を考え、実行して行くことが重要であると考えます。
 その具体的方法は、次回以降説明します。