アトピー性皮膚炎が起きやすい体質の人は、わが国では約16%存在すると言われ、花粉症など他のアレルギー性疾患とともに増加の一途をたどっています。
 スギ花粉症などが、原因となるアレルゲンが特定されており、季節も限定されているため、対策が立てやすいのに対して、アトピー性皮膚炎は、原因となるアレルゲンが多岐に渡り特定しにくく、多くの例では症状は通年性となっています。
 つまり、アトピー性皮膚炎の治療は、長い年月続けて行く必要があり、なかなか出口が見えないという弱点があります。
 アトピー性皮膚炎の標準治療は、抗ヒスタミン薬の持続内服とステロイド外用になります。また、症状が強い時には、限定的にステロイドの内服を行う事もあります。これらの標準治療は、堅実な効果が期待できる反面、2つの問題点を持っています。
 ひとつは、副作用の問題です。例えば、抗ヒスタミン剤はある程度の眠気=脳の注意力低下を必発で引き起こします。そのため、勉学や仕事の効率の低下や、自動車運転などでのリスクを生じます。
 また、ステロイド内服では、血糖値上昇、胃潰瘍、皮下脂肪の増加、骨粗しょう症、精神的不安定などのリスクがあるため、長期の内服持続は好ましくありません。ステロイドの塗り薬による外用治療では、体内への吸収はごく少量であるため、成人では直ちにステロイド内服による様な副作用は生じないのですが、影響はゼロであるわけではない事と、ステロイドによる皮膚の色素沈着という問題点もあります。
 もうひとつの問題点は、治療が完全な対症療法、すなわち、どんなに長く治療を続けたとしても、病状を抑えるだけで、アトピー性皮膚炎の根本的解決には一切役に立たないという事があります。
 もちろん、治療でもっとも大切な事は、現在の症状、所見を改善する事であるのは間違いありませんが、出来ればアトピー性皮膚炎自体の病状の改善=体質改善も目指せれば、それに越したことはないと考えます。
 しかし、西洋医学的な治療には、なかなか体質改善を目指せる方法はないのが実情です。

 その西洋医学的治療の中に於いて、体質改善的な治療が可能なものが『ヒスタグロビン』という注射です。
 ヒスタグロビン注射を使った治療は、『非特異的減感作療法』と呼ばれています。
 これは、多岐に渡るアレルゲンの影響を全般的に軽減する事が出来るという治療です。注射を病状に合わせて定期的に行う事によって、アレルギーの症状を大幅に軽減する事が可能です。
 また、副作用が極めて少ないというのもヒスタグロビン注射の大きな利点です。ヒスタグロビンというのは、献血で得られた血液を輸血製剤にする際に得られる物質を製剤化したものです。もともと我々の体にある成分であるため、化学合成された薬物に比べると体への負担が少なくのです。もちろん、献血の際に感染症の検査を始めとした安全性の管理は万全に行われていますので、感染症などの面でも安心です。

 ヒスタグロビン注射は、アトピー性皮膚炎の標準治療である抗ヒスタミン剤などの各種内服薬やステロイドなどの各種外用薬、漢方薬、ビタミン剤などとの併用は全く問題ないため、容易に併用が可能です。
 当、代官山パークサイドクリニックでも、皮膚科での塗り薬の治療も受けつつ、当院では内服ヒスタグロビン注射を行っているという患者様も少なくありません。

 ヒスタグロビン注射に関して、私、岡宮もコメントしている記事が、『週刊女性 6月13日号』に載っています。興味のある方は、ぜひお読みください。

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岡宮 裕 院長
1990年 杏林大学医学部 卒業 慶應義塾大学腎臓内分泌代謝内科に入局 横浜市立市民病院・静岡赤十字病院・練馬総合病院他 腎臓病・高血圧・糖尿病・血液内科やアレルギー疾患など内科全般の幅広い医療に従事。 代々木上原の吉田クリニックにおいてプラセンタ注射を使った胎盤療法等の様々な領域について研鑽を重ねる。 2009年 代官山パークサイドクリニック 開業 2011年 海外渡航前医療センター 開設