スギ花粉症の話をします。
今年(2019年)のスギ花粉の飛散量の予測では、東京では前年(2018年)の約3倍に上るとのことです。
スギ花粉は、アレルギーを持つ人に、くしゃみ、鼻水、鼻閉(鼻詰まり)の三大症状に加え、目のかゆみや喘息様の咳、皮膚の荒れやかゆみを生じる可能性があります。
スギ花粉のアレルギーを持っている人は、わが国の人口の20%以上と言われていますが、治療薬を使うほどではないが、スギ花粉の時期になると鼻汁やくしゃみが増えるという人まで入れると、もっと多くの人がスギ花粉に苦労しているのではないでしょうか。

そのスギ花粉症ですが、各種の医薬品で対症療法を行う事が出来ます。
医療機関での治療薬は概ね以下となります。
先ず、花粉症の症状全体を抑える目的で、抗ヒスタミン剤などの抗アレルギー剤を内服します。
それでも鼻閉などが強い人は、ステロイド系の点鼻薬を症状が強いときのみ併用します。目のかゆみがつらい人は、非ステロイド系の点眼薬を併用します。それでも症状が改善しない場合は、ステロイド系の点眼薬に切り替えます。ステロイド系の点眼薬を使う際は、緑内障などの疾患がないか見分ける必要があるため、眼科を受診して処方を受けることが望ましいと考えます。

治療の核となる抗ヒスタミン剤の内服開始はいつ頃始めたらよいのでしょうか?
東京でのスギ花粉の大量飛散が始まるのが2月中旬、バレンタインデーの頃で、飛散量がピークになるのが3月上旬以降とされています。
また、抗ヒスタミン薬は、内服を始めてから効果が最も有効となるために一週間を要すると言われています。意外とスローな効き方ですね。
そのために、スギ花粉の飛散開始に間に合わせるためには、抗ヒスタミン剤の内服による治療は2月に入ったらすぐに開始する事がおすすめです。スギ花粉のピークに間に合わせる場合でも、遅くとも2月中には内服を始めると良いでしょう。
また、抗ヒスタミン剤は、飲んだり飲まなかったりすると、効果が半減しますので、スギ花粉症がある場合には、花粉の症状の如何にかかわらず、期間中はずっと内服しておくことをお勧めします。
点鼻薬や点眼薬については、症状が出てから開始するのが良いと考えます。あらかじめ使うことによる予防効果はありません。しかし、スギ花粉による目のかゆみは、目をこすると悪化します。無意識に目をこすってしまうことを防止する観点からは、点眼薬は早めに使っても良いかもしれないですね。

抗ヒスタミン剤は、幅広いアレルギー症状に効く優れた治療薬ですが、欠点として、眠気と皮膚や粘膜の乾燥があります。
そのため、乾燥がひどい人や、薬で眠気が出やすい人、自動車の運転をする人は、抗ヒスタミン薬以外を中心に治療を組み立てて行くと良いでしょう。
その際の選択肢としては、漢方薬の使用もしくは併用があります。
漢方薬は、眠気をきたさず、速攻性もあるため、個人的にはお勧めしています。

次回は、漢方薬を中心とした、花粉症の東洋医学的治療についてお話したいと思います。

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