花粉症の話2019②花粉症とPM2.5の関係


先日、某TV番組でも紹介させていただいた花粉症とPM2.5の関係についてお話します。(もっとも、番組では花粉症とインフルエンザとPM2.5のトリプルパンチというセンセーショナルなタイトルでしたが、今回は花粉症とPM2.5の関係性についてのみお話します。)

PM2.5というのは、もともとは直径2.5μの粒子を意味しますが、我々が問題にするPM2.5というのは、主に工場、内燃機関や焼却炉などに由来する燃焼とともに発生する微粒子を指します。PM2.5は、その粒子径の小ささ故に呼吸器末端まで入り込み、体全体に悪影響を与えます。そのため、長期的にはがんや呼吸器疾患、循環器疾患をはじめとする様々な病態を引き起こし、健康、生命に大きく影響を与えると言われています。
近年は、お隣の中国から偏西風に乗って日本にやってくるPM2.5に対する被害に注目が集まるなど、対策の重要性が認識されつつあります。

実は、このPM2.5、長期的な健康被害だけではなく、アレルギー症状も悪化させることが知られています。そして、これは、スギ花粉による症状にも当てはまります。
一般的にPM2.5に暴露されると、皮膚や粘膜の状態が悪化します。
アレルギーの症状は、アレルギーの攻撃力と、粘膜や皮膚の防御力との差ですので、スギ花粉の反応性が同じでも、粘膜の防御が低下すれば症状の悪化を招きます。すなわち、スギ花粉の飛散量が同じでもPM2.5濃度が上昇すれば、鼻汁、鼻閉、目のかゆみ、くしゃみなどの症状が悪化する可能性があるのです。
また、スギ花粉は、鼻炎や目の症状といった比較的軽度のアレルギー症状をきたすことはあっても、全身性のアレルギー性皮膚炎や喘息などの重度のアレルギー症状を呈する事は少ないと言われています。
しかし、PM2.5の影響下では、比較的重症のアレルギー、特に喘息の発生率が有意に上昇します。喘息を発症すると、健康、生命に直接リスクが及びますので何としても避ける必要があります。

では、花粉とPM2.5の被害を抑えるにはどうしたらよいのでしょうか。
一つは、花粉やPM2.5の濃度が高い時には住居の換気を行わないという点があります。
スギ花粉の飛散量は、一般的に昼間、特に午前中に多いと言われています。
PM2.5の濃度は、工場や車が稼働している日中に多く、午前0時から6時にかけては少ないと言われています。
スギ花粉症のある人は、家の換気を可能な限り少なくする事が重要ですが、もし、換気の必要があるときは、できれば深夜、早朝に行う様にしてください。
また、PM2.5のシャットアウトは困難にしても、マスクをすることは重要です。
マスクにより、スギ花粉の吸入量を減らすことが可能ですし、気道の湿度を上げる効果により、粘膜の防御力を高める効果があります。マスクは思っているよりも重要です。
ただし、マスクをしている際に重要なポイントが一つ。
せっかく気道粘膜の防御を高める工夫も、口呼吸をすると効果が半減します。原則、鼻呼吸で。『マスクをしてても鼻呼吸』、これが重要です。

PM2.5について、もう一つ重要な事があります。それは喫煙の影響です。
タバコを日常的に吸う人は、花粉症を悪化させるリスクあります。
先ず、タバコに含まれるニコチンやタールは、それ自体が免疫に関与する各種タンパクを抑制し、免疫反応に異常をきたします。これが、スギ花粉症などのアレルギーの発症や症状の悪化につながります。
また、タバコの副流煙は、喫煙者のみならず、家族など周囲の人間にも少なからず悪影響を与えます。
タバコの副流煙に含まれる物質はアレルゲンとはなりえないのですが、アレルギー症状を悪化させる因子として働き、アレルギー症状を悪化させます。
タバコの間接喫煙とスギ花粉症についての研究はありませんが、参考になるものとして、喫煙と喘息の研究があります。
オーストラリアのタスマニア島の7歳児における間接喫煙の影響を調べたメルボルン大学の研究によると、母親が喫煙をした場合の喫煙による子供の喘息の発症リスクは1.26倍。つまり、日常的に子供と接する機会の多い母親の喫煙は、子供の喘息発症のリスクを26%高めるとの事でした。
そして、これらのアレルギー症状を悪化する要素は、鼻炎や目のかゆみ、アレルギー性皮膚炎についても成り立つと推測されます。
アレルギー性疾患を自身や家族が持つ人にとっては、家庭内PM2.5発生源ともいえるタバコをやめることは、花粉症対策としても大切な事であると考えます。