肥満と新型コロナウィルスの重症化リスクについて


 新型コロナウィルスに感染した経験を持つ英国のジョンソン首相は7月27日に、自身の新型コロナウィルス感染が重症化した要因の一つに肥満があるとの観点から、深刻な肥満に直面する英国社会に向けて、肥満対策計画を発表しました。これは、予算14億円をかけて国民に肥満防止対策を行うもので、医師が肥満患者にサイクリングによる運動指導を行う事や、サイクリング専用道路の増設、ジャンクフードのテレビCMの放送制限などが含まれるという内容です。
 世界保健機構(WHO)によると肥満の定義は、体重(kg)を身長(m)の二乗で割った値であるBMIで30以上を指します。BMIは、標準体重が22。25を超えると過体重(太り気味)、30を超えると肥満、40を超えると深刻な肥満となります。
 ※身長170cmの人を例にとると、標準体重であるBMI=22では63.6㎏、25では72.3㎏、肥満の定義の30では86.7㎏、深刻な肥満の40では115.6㎏となります。BMI40の人などは日本人ではあまり見かけないですね。

 この政策は、英国の公衆衛生サービス(PHE)が発表した研究結果で、肥満者の場合の新型コロナウィルス感染による死亡リスクが、非肥満者に比べて40%増加するという事などに由来しています。
 他にも英国のICU(集中治療室)の監査・調査機関であるICNARCによると、新型コロナウィルス感染でICUに入院した患者672人のうち、太り気味が231人(34.4%)、肥満が208人(31.0%)、深刻な肥満が45人(6.7%)となり、合わせて72%に肥満傾向が認められ、37.7%が肥満であったとのことです。この37.7%という肥満率は、2016年統計による英国に於ける肥満者の割合の26.9%を有意に上回っており、肥満が新型コロナウィルス感染の重症化の大きなリスクと考えられます。
 また、ICUに入院した患者の予後という面から見ると、BMI25未満の非肥満者では、生きて回復した患者33人に対して死亡者24人(死亡率42%)。BMI40以上の深刻な肥満者では、回復患者18人に対して死亡者28人(死亡率61%)と、死亡率が大きく異なるという結果が出ています。

 新型コロナウィルスに対して、最も重要な事は感染を予防する事です。しかし、今後に於いて新型コロナウィルスを完全に封じ込める事が困難なである事を考えると、感染が重症化しない事も同様に重要であると考えます。
 肥満によるリスクというと、今まではとかく動脈硬化疾患という観点で論じられてきました。それも大きなリスクですが、新型コロナウィルス感染の重症化や死亡率にもこれだけ大きな影響があるのであれば、肥満を防ぐことはより重要性が増すと考えます。
 さらに、恐らくこれは新型コロナウィルス感染だけではなく、インフルエンザや通常の細菌性肺炎などの感染症に於いても少なからず同様な傾向である可能性があります。肥満を防ぐことのメリットは我々の想像を超えて大きなものであるのではないでしょうか。

 新型コロナウィルス感染は、完全封じ込めが実質的に困難であるとのことより、いわゆるウィズコロナの時代に入って行くとされています。その様な時代に於いて、我々自身の健康、生命を守るために、先ずは体重管理から行ってみても良いかもしれません。