花粉症に効く食品、花粉症の食養生について


 スギ花粉症をお持ちの方にとっては、少々心配な季節になってきました。
 関東地方のスギ花粉の大量飛散の開始日は概ね2月中旬。花粉症対策は2月の初めから行っていきたいものです。
 今回は花粉症の食養生、花粉症に良い食物、悪い食物についてのお話をしたいと思います。

 先ず、花粉症に限らず、冬から春にかけてのアレルギーの被害を軽減する養生の原則から話します。
① 身体、特にお腹を冷やさないことが基本的に重要です。それには、冷たい飲み物を飲まない。炭酸系の飲料を避ける。生野菜を食べない(温野菜にする)。主食は、冷やす属性を持つ食品であるソバや小麦を避け、身体を冷やさない性質の米を中心に食べましょう。
物理的に冷やさないことも重要です。お腹や腰を暖める服装を心掛けましょう。
② 油の多く含まれるものや動物性蛋白の取りすぎを控える。マーガリンやお菓子などのトランス脂肪酸、食品添加物をなるべく避けましょう。お菓子に含まれる精製された砂糖=白砂糖も炎症を悪化させる=アレルギー症状の悪化を招きます。
③ アルコールを控えましょう。もし飲む場合も節度を持つ。ビールや酎ハイ、水割り、スパークリングワインなど、冷やすものや炭酸の入ったものは避ける。飲むのなら、焼酎のお湯割り、日本酒の熱燗、赤ワインの方がまだしも良いでしょう。(赤ワインのポリフェノールが、花粉症に効くとの報告もありますが、残念ながらアルコールによる花粉症の悪化を打ち消してくれるほどの効果は期待できないので、アレルギー症状に良かれと思って飲酒をするのはお勧めできません)
④ 過剰な刺激物や身体内部に余分な熱を産するものを摂らない(身体を暖める食品はアレルギーに良いが、熱を強く産みだす刺激物の過剰摂取は、身体内部の熱の偏在を産みだし、皮膚や粘膜の状態を悪化させたり、アレルギーによる炎症の要因となってしまいます。過剰に、過激に温めるのは良くない、要するに“贔屓の引き倒し”は良くないという事ですね)。唐辛子の多い料理、カレー、にんにくを多量に使った料理、油で揚げた料理などは避けること。チョコレートやコーヒーも要注意です。ポリフェノールによるアレルギー緩和の効果があることが宣伝されていますが、含まれている砂糖がアレルギーを悪化させるのみならず、余分な熱の発生の要因となりうるので注意が必要です(総合的に見ると、一般的なチョコレートは花粉症の症状を極めて悪化させますのでお勧めできません)。
⑤ “肝(カン)”に良いものを摂取しましょう。
 東洋医学でいうところの“肝(カン)”とは、肝臓のみならず自律神経をも含めた複合的なシステムという概念です。この肝に良い養生が花粉症の症状の改善に有効です。
 スギやヒノキの花粉症が出る時期=早春から春は、肝の働きが乱れる季節でもあります。肝が乱れると、心身ともに安定を欠く状態になります。スギ花粉症の症状が不安定で高度である人は、その一因として、この肝の不安定さが関与している可能性があります。
その様な場合は、肝の状態を安定させると、花粉症のアレルギー症状の改善が期待できます。
 肝を安定させるためには、一般的な養生として、適度な運動を心掛け、ストレスをためない事、早起きをして、深呼吸で朝のすがすがしい空気を取り込むことを心掛けてください。好きな音楽やアロマで精神的にリラックスすることも有効です。
食養生としては、アサリ、シジミ、鰻、ニラ、春菊、ほうれん草、小松菜、セリ、ヨモギ、ゴマなどは肝を助ける=適正に保つ働きを持っています。また、セロリは肝の働きが強すぎるときにこれを落ち着けてくれる抑肝という効果に優れるとされています。
 そして、先にも述べた節度ある飲酒は、東洋医学的にみても、肝を労ることで花粉症の悪化を最低限に留めるという事に繋がります。

花粉症に良い具体的な食べ物についてもお話します。

☆魚、特に青魚:
花粉症における炎症を抑えてくれる、EPA(エイコサペンタエン酸)やDHA(ドコサヘキサエン酸)などのオメガ3系の脂質を多く含む青魚は、花粉症などのアレルギー症状を抑制するばかりでなく、肌や粘膜の状態の改善を促してくれます。
 牛肉や豚肉などの動物性の脂肪に含まれるAA(アラキドン酸)などのオメガ6系の脂質は、炎症反応を増悪し、アレルギー症状を悪化させます。花粉症の季節は、控えめにすると良いでしょう。
 同様に料理などで使う油についても、サラダ油やオリーブ油なども免疫力を強化する反面、アレルギー症状を悪化させるため、可能なら亜麻仁油やえごま油などのオメガ3系の油に切り替えると良いでしょう。

☆ヨーグルト:
 ヨーグルトに含まれる乳酸菌は、腸内細菌叢を整え、胃腸環境を安定化させることにより、アレルギー症状の緩和が期待できます。しかし、ヨーグルトに添加されている白砂糖はアレルギーを悪化させるため、なるべく砂糖が添加されていないものを選ぶ必要があります。
 同様に、乳酸菌による効果という面では、ぬか漬けやキムチにもアレルギー症状を緩和する効果が期待できます。しかし、過剰な塩分や唐辛子、保存料などの添加物はアレルギー症状を悪化させますので、なるべくナチュラルなものを選択する必要があります。

☆温野菜、食物繊維を多く含むもの:
 生野菜はビタミンが豊富であるためアレルギーに対し良いというイメージがあります。しかし、生野菜は身体を冷やす事によりアレルギー症状を悪化させる側面があり、これはビタミンによる花粉症改善の効果を打ち消して余りあるものがあります。そのため、冷えが悪化しやすいスギ花粉症の時期には、生野菜を避け、温野菜中心の食事とすると花粉症の症状を緩和する事が期待できます。
 食物繊維の多い食品も腸内環境を安定化し、アレルギー症状を悪化させにくい状況を作ってくれます。ごぼう、ニンジン、レンコン、かぶ、ダイコン、インゲンなどの野菜や雑穀類、わかめなどがお勧めです。
 中でもレンコンは、ポリフェノールの一種であるタンニンによる抗酸化効果により、効果的なアレルギー症状の緩和が期待できます。

☆大豆:
 豆腐や納豆などの大豆製品もアレルギー症状の改善に効果的です。大豆製品は、動物性の肉に比べて、たんぱく成分が良質であることとアレルギーを悪化させるオメガ6系の脂質が含まれない事が、アレルギーに対して良い効果をもたらします。
 また、豆腐は、にがりに含まれるマグネシウムがアレルギー症状の改善効果があります。
 納豆には、ムチンというネバネバ成分が含まれていますが、これには粘膜の保護効果があり、花粉症の鼻炎などの症状に対して有効です。ムチンは他にもオクラ、長芋、モロヘイヤなどの食品にも含まれています。

☆抗炎症作用のある食品:
 しょうが、玉ねぎ、キャベツ、ブロッコリー、ダイコン、小松菜、ローズマリーなどのハーブは、抗炎症作用を持つため、アレルギー症状の悪化を防いでくれます。

☆トマト:
 トマトに含まれるナリンゲニンカルコン、リコピンなどの物質もアレルギー症状改善に有効とされています。個人的にはとてもお勧めの食品ですが、気を付けたい事もあります。スギのアレルゲン構造がトマトのそれと似通っている(アレルゲンに類似性がある)ため、スギ花粉症の人は、生でトマトを食べると口腔内の違和感が生じる可能性があります。それを防ぐためには、トマトを加熱することをお勧めしています。加熱してもリコピンなどの成分が損なわれることはなく、トマトの持つ身体を冷やすという要素もなくすことができるので一石二鳥、スギ花粉症の改善には熱を加えたトマトを摂るようにしましょう。

☆甜茶:
 花粉症に対して、即効性のある改善効果、すなわち対症療法に有効なものとしては、甜茶があります。甜茶は花粉症の悪化に関与するヒスタミンという物質を低下させる作用があり、アレグラなどの抗ヒスタミン剤を飲むのと同様な効果が期待されるとの事です。
 ペパーミントもアレルギー症状を一時的に軽減することが知られており、ペパーミントのガムなども花粉症の対症療法に有効なことがあります。

その他、気を付けたい事があります。
花粉症の鼻閉に対しては、唐辛子やカレーなどの刺激物を多量に摂取すると一時的に自覚症状が改善する場合があります。しかし、それは一時的な改善に過ぎず、その後、刺激物による粘膜状態の悪化に伴い、さらに鼻閉が悪化する事にもつながりかねません。
同様な事はアルコールにも言えます。個人差があり一概には論じられないのですが、アルコールの摂取後に鼻閉などの症状が改善するという人もいます。しかし、これはあくまでも一時的な改善であり、長期的には鼻閉、鼻汁、肌のかゆみなどのアレルギー症状の悪化を招きます。くれぐれも花粉症に良かれと思っての飲酒は避けましょう。
また、規則正しい食事の摂取と、腹八分目を心掛けることは、食養生の基本です。アレルギーの症状がひどい時こそ、これらの基本を守ることは重要です。

以上の事を参考にして、花粉症シーズンを少しでも快適に過ごしていただければと思います。