感染予防に役立つ漢方


新型コロナウィルスの感染拡大への対応が連日報道されています。
感染予防で我々が出来る事としては、基本的には皆さまもご存じのように、人混みを避け、マスクをして、接触感染予防の観点から不要な場所に触れない、手を丁寧に洗う。感冒症状がある場合は、コロナウィルス感染の可能性の多寡にかかわらず、ウィルスを他者に感染させないために自宅安静とするなどがあります。
そのうえで、個人個人で見た場合の感染から身を守る方法はないのでしょうか。

ライブハウスやスポーツクラブ、満員電車などの閉鎖空間などでウィルスに濃厚暴露された場合、同じ条件でも感染する人としない人がいます。もちろん単に運不運の要素もあるのですが、感染するか否かに大きく影響するのが免疫力です。免疫力が高ければ感染が成立する可能性は有意に低下します。
そして免疫力を高めるためには、東洋医学的な手法を用いる事が有効です。

東洋医学的な観点からは、免疫力とは、身体の生命エネルギーである”気(き)”の量的、質的な状態であると考えられます。
“気”が充実していると、身体を外部から侵入するウィルスなどから防御する力=免疫力が高まります。その結果、感染症に罹患する確率が下がることはもちろん、万が一に感染しても重症化する確率が低下します。
逆に”気”が低下すると防御力=免疫力が弱まり、ウィルスなどの感染症にかかりやすくなりますし、感染した場合の重症化の可能性が高まります。
免疫力を高め、ウィルスなどの感染症から身を守るためには身体の”気”の充実がとても重要となるのです。
では、”気”を充実させる=高めるためにはどうしたらよいのでしょうか。
“気”は、規則正しい生活と質の良い食事を適正に摂取することによって高められます。逆に、睡眠不足などの不規則な生活や、食事の量的な過剰摂取や質の悪い食品で低下します。
ストレスもまた”気”の低下に大きく関与します。イライラなどのストレスに加えて、怒ったり心配をしたりすることも気の低下につながります。また、笑う、喜ぶ、感謝することなどは、気を高める効果があります。可能な範囲内でストレスがかからない状況を造り、あまり心配をしすぎない、感謝とユーモアを忘れない、などを心がけたいものです。

東洋医学的な観点からは、漢方薬もまた”気”の充実を図ることにより免疫力を高めることが期待できます。
免疫力を上げる漢方薬の代表的なものとしては『補中益気湯(ほちゅうえっきとう)』があります。
この漢方は、”中=お腹ないし胃腸などの消化器系を補い、気を益す=気という生命エネルギーを増加させる”という意味の名前が付けられた漢方です。
補中益気湯は、その成分=生薬である朝鮮人参と黄耆が”気”の増加に関与するのみならず、柴胡がストレスを軽減してくれるなど、まさに免疫力を上げウィルスなどの感染症予防というケースに最適な漢方薬といえるのではないでしょうか。
※補中益気湯の詳細についてはこちらもご参照ください①

最新の医学研究でも補中益気湯がウィルス感染に有効なメカニズムが解明されてきました。
補中益気湯は、免疫力=感染予防を担う細胞であるマクロファージやNK細胞の増殖、強化の作用があり、長期的に補中益気湯を内服することによって免疫力の向上が図られるとのことです。
また、ウィルス感染が起こると身体はインターフェロンという物質を分泌してウィルスの活動性を抑える事が知られています。しかし、インターフェロンは身体に感染が成立してから増産体制に入るため、感染初期には十分な量が用意されていません。(インターフェロンの十分な増加には数日~1週間程度を要すると考えられています。)もしインターフェロンの産生が間に合わなければ、ウィルス感染は悪化し、最悪のケースでは早期に生命に関わる可能性もあります。
補中益気湯は、中長期的に内服することにより、身体の各種インターフェロンを増加させ、感染症に罹患しにくい状況を作ります。また、感染した場合でも、重症化を防いでくれることが期待できます。
漢方薬は、同じ状況であっても個人個人の体質=証(ショウ)によって異なる漢方薬を使うため、東洋医学的な観立てが出来る医師に診察の上、処方してもらう事が必要です。

免疫力を高める手立てをしても、ウィルスなどに感染してしまったかな、という時には、それに対する漢方治療もあります。それについては、こちらもご参照ください➡風邪の漢方治療について 2020