新型コロナウィルス(COVID-19)の感染拡大がいまだに衰える傾向が見られない状況です。流行の中心がイタリアをはじめとする欧州に移行するなど、新たな局面になってきた感がありますが、ツイッターに興味深い投稿がありました。
2020年3月14日に、フランスの現職厚生大臣オリヴィエ・ヴェラン氏が、『コロナウィルスにはイブプロフェンを服用しないことを推奨する』というものです。また、内服については医師に相談する事も推奨しています。
イブプロフェンとは、NSAID=非ステロイド性抗炎症薬の代表的な薬剤で、単独で使用される場合もありますが、市販品を含む総合感冒薬の成分として多くの薬に含有されています。
イブプロフェンは、頭痛や発熱などの症状を抑え、感染症の苦痛を和らげてくれる効果がありますが、身体がウィルスに対抗する防御反応も低下させるという面もあり、諸刃の剣
という側面のある治療です。
ヴェラン氏はイブプロフェンの替りに、比較的弱い効果のアセトアミノフェンを使うように推奨していますが、これもまた、程度の差はあれ同様な欠点を有しています。(要するに、ウィルスに対しての負の要素はNSAID系の薬剤全てに共通するが、強めのイブプロフェンに比べればアセトアミノフェンの方がまだましであるという事。まあ、考えなしに自己判断で適当な市販薬を飲まない方が良いという事です。)

フランスでは、新型コロナウィルスに対する効果が疑問視されていても、NSAIDしか選択肢がないため、この様な治療方針の選択になりますが、我が国については漢方薬という選択肢があります。
漢方薬については、興味深い報告があります。
新型コロナウィルスに対しての漢方治療についての有用性です。
王医師らの報告によれば、新型コロナウィルスに対し、西洋医学的治療のみを行った群にくらべ、中西併用=西洋医学治療に漢方治療を併用した場合の方が、有意差をもって解熱、咳の緩和などに有効であるとの事でした。その際に使用した漢方薬が清肺排毒湯(せいはいはいどくとう)という漢方です。成分は、麻黄9g、炙甘草6g、杏仁9g、生石膏15~30g、桂枝9g、沢瀉9g、猪苓9g、白朮9g、茯苓15g、柴胡16g、黄ゴン6g、半夏9g、生姜9g、紫苑9g、冬花9g、射干9g、細辛6g、山薬12g、枳実6g、陳皮6gとなっています。
上記は生薬からのせんじ薬となります。せんじ薬の漢方を運用することは、煎じる手間や生薬の入手などの観点から困難な事も考えられます。
現在、我が国で広く出回っているエキスの漢方製剤を活用するという場合は、麻杏甘石湯、胃苓湯、小柴胡湯加桔梗石膏の三剤を同時服用することで代用することができるとの事です。

新型コロナウィルスだけに限らず、感冒をはじめとしたウィルス性感染症については漢方薬が治療の安全性のみならず、即効性を含む治療有効性についても有効です。
これを機に、感冒症状があるときには西洋薬のみならず、漢方薬を使ってみるようにする事がお勧めです。

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